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「ペイチェック・消された記憶」の原作者 |
今回の特集はジョン・ウー監督のSF映画「ペイチェック・消された記憶」の原作者のフィリップ・K・ディックを取り上げました。監督の話では今回の映画は原作とはかなり違うと言うことなので、オリジナル作品に近いと言うことですが、絶大な人気のディックの作品集をここに紹介します。 解 説■ 1928年生まれ。 1950年代に短編作家としてデビュー、その後矢継ぎ早に長編を発表して「現代で最も重要なSF作家の一人」と呼ばれるまでになる。 1962年「高い城の男 The Man in the High Castle」でヒューゴー賞を受賞。 ディック特有と言われる、タイムスリップや異星人、予知能力などのSF特有の大道具小道具を徹底的に使いまくる作風は「メタSF」と呼ばれる。 晩年の「ヴァリス」「聖なる侵入」は彼の哲学の集大成と言われる。 1982年3月、心臓病で没する。53歳という若さだった。 86年にはG・ウォルコウ監督がディックに捧げたファンタスティック・ムービー『ディックの奇妙な日々』を製作した。 映画化作品 ■ 『ブレードランナー』(1982 ) ■ 『トータル・リコール』(1989) ■ 『バルジョーでいこう!』(1992 ) ■ 『スクリーマーズ』(1995 ) ■ 『クローン』(2001 ) ■ 『マイノリティ・リポート』(2002 ) ■ 『ペイチェック(原題)』(2003) 長篇
■『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』DO ANDROIDS DREAM OF ELECTRIC SHEEP ?〈ハヤカワSF229〉訳:浅倉久志/カバー:中西信行(初版)・映画スチル(四版)/発行:1977年3月15日 第三次大戦後、放射能灰に汚された地球では、生きている動物を所有することが地位の象徴となっていた。 人工の電気羊しかもっていないエリックは、本物の動物を手に入れるため、火星から逃亡してきた「奴隷」アンドロイド8人の首に賭けられた莫大な懸賞金を狙って、決死の狩りをはじめた! 現代SFの旗手ディックが、斬新な着想と華麗な筆致を用いて描きあげためくるめく白昼夢の世界!〔映画化名『ブレードランナー』〕 ■『偶然世界』SOLAR LOTTERY〈ハヤカワSF241〉 訳:小尾芙佐/カバー:渡部 隆/発行:1977年5月15日 執政庁の最高権力者ベリックが失脚した! しかし、彼に失策があったわけではない。 ボトルと呼ばれる権力転位装置の無作為的な働きがそれを決定したのだ。 かわって選ばれたのは無級者のカートライト――ボトルの抽選により、こんどは彼が60億の人々の中から選ばれたのである。 だが無級者にとっては、この幸運は同時に凶運でもあった。なぜなら、無級者の手から権力をもぎとらんと刺客がさしむけられ、彼らは執政庁へと……。 一見アクション・スリラー風のプロットを土台に、現代物質世界の背後に隠れた真実を鋭く描きだした鬼才ディックの処女長篇!(『太陽クイズ』改題) ■『死の迷宮』A MAZE OF DEATH〈サンリオSF文庫3−B〉 訳:飯田隆昭/カバー:ロウェーナ・モリル/発行:1979年5月15日 14人の男女――コンピューター技師、神学者、娼婦、海洋生物学者、医師など――が転任願いがかなえられて植民地惑星デルマクー〇に到着した。 だが通信器が故障し――故意に破壊された疑いがある――そこでの任務を知るすべがない。また小型宇宙艇に乗ってきたため戻ることもできない。 一方、ここには彼らを監視する人工昆虫が放たれ、テンチと呼ばれる未来を予言し、様々な複製品を産み生物が生息し、巨大な動く建物が現れる。 そのうち一人が何者かに殺され、相互不信と偏見によって反目が生じるうちに次々と犠牲者が出る。宇宙の聖典ともいうべき『ザ・ブック』に登場する三つの善良な神と一つの邪悪な神の謀略か? 地球の総統トリートンから派遣された殺人者が彼らの間に隠れているのか? それても……そして遂には奇怪さを深める死の迷宮からの出口が発見できぬまま、残された人びとは自分が誰なのかさえ疑わしくなってくるのだった。 ■『死の迷路』A MAZE OF DEATH〈創元SF文庫699-03〉 訳:山形浩生/カバー:松林富久治/発行:1989年12月15日 目的も知らされぬまま、植民惑星デルマク・Oに送り込まれた14人の男女。彼らに使命を告げるはずだった衛星からの通信は、故意か偶然か、メッセージを受信しているさなかに途切れてしまう。 異常事態はそれだけにとどまらなかった。一人また一人と、メンバーが殺されはじめたのだ。 この14人のなかに殺人鬼がいるというのか? 謎めいた立方体の建造物がそびえ、物質をコピーする奇妙な生き物が徘徊するデルマク・O。この惑星に閉じ込められたまま、彼らは狂気にむしばまれてゆくのだろうか。 P・K・ディックがつむぐ、逃げ道のない悪夢世界。
■『火星のタイム・スリップ』MARTIAN TIME-SLIP〈ハヤカワSF396〉訳:小尾芙佐/カバー:渡部 隆/発行:1980年6月30日 たえず水不足に悩む不毛の地、火星植民地に住む人々は、国連から配給された水を頼りに細々と暮らしていた。しかし、水利労組組合長アーニイ・コットは、その貴重な水を思うままに使えるほどの絶大な権力を握っていた。 だが、国連の大規模な火星再開発にともなう投機で地球の投機家に先を越されてしまった彼は、ある途方もない計画をもくろむ――時間に対する特殊能力を持っている分裂病の少年を使い、過去を改変しようというのだ。 ところが、コットが試みたタイム・トリップには、怖るべき陥穽が……!? アメリカSF界の鬼才ディッグがなまなましく描く、異形の悪夢世界。 ■『暗闇のスキャナー』A SCANNER DARKLY〈サンリオSF文庫3−C〉 訳:飯田隆昭/カバー:中西信行/発行:1980年7月5日 プラスチックハウスが林立するカリフォルニアのファシスト警察国家には麻薬が猖獗を極めていた。 特に脳を破壊する物質Dの供給元をたどるため当局はフレッドという捜査官に売人アークターの監視を命じた。彼はそのつどあらゆる人間の断片の組み合わせに変わるためおぼろな姿に見えるスクランブルスーツを着て、アークターの家や車に監視装置をしかける一方、供給元を突き止めるため愛人のドナからヤクを買うことにした。売人たちも逮捕を逃れようと監視テープを改竄し、徹底した逆捜査をし、ときに捜査官にヤクを仕込んだりするのだ。 やがて彼も中毒患者となるが、アークターも密告で当局に消されそうになる。だが、実はアークターとはフレッドであり、それを知っているのは彼だけなのだ。また、供給元が一度も摘発されたことがないのは公的な庇護を受けているかららしいのだ。 狡猾に仕掛けられた虎鋏のように強力なディックの知的挑戦をお楽しみ下さい!! ■『流れよわが涙、と警官は言った』FLOW MY TEARS, THE POLYCEMAN SAID〈サンリオSF文庫3−D〉 訳:友枝康子/カバー:中西信行/発行:1981年12月30日 それは、まったく不意だった。子飼いの歌手志望マリリンが、彼を恨んでゼラチン状のカリスト海綿生物を投げつけたのだ。 彼の胸に50本の触手が食い込んだのをスコッチを浴びせて殺したものの、何本かが体内に残ってしまったのだ。失神、そして病院へ。ところがある朝、目ざめてみると安ホテルの不潔なベッドだった。 胸から触手は消えていた。それだけではない。3000万人のファンをもつTVアイドル歌手である彼タヴァナーは、身分証明書もなく、世界中どこにもデータのない男になっていたのである。 1984年、警察国家アメリカのどこにも彼は存在していない、ということになるのだ。だが、これはまだ悪夢の始まりでしかなかった。ロサンゼルス警察は、彼が自分で自分のデータを消したと疑って二十四時間監視をはじめたのだ。 洗練された構成力と強烈な想像力で兇暴でぞっとするような近未来を描いたディックの傑作中の傑作。 ■『流れよわが涙、と警官は言った』FLOW MY TEARS, THE POLYCEMAN SAID〈ハヤカワSF807〉 訳:友枝康子/カバー:上原 徹/発行:1989年2月15日 三千万の視聴者から愛されるマルチタレントのタヴァナーは、ある朝見知らぬ安ホテルで目覚めた。 やがて恐るべき事実が判明した。身分証明書もなくなり、世界の誰も自分のことを覚えていない。そればかりか、国家のデータバンクからも彼に関する記録が消失していたのだ! “存在しない男”となったタヴァナーは、警察から追われながら悪夢の突破口を必死に捜し求める……現実の裏に潜む不条理を描く鬼才最大の問題作! ■『怒りの神』DEUS IRAE〈サンリオSF文庫3−G〉 共著:ロジャー・ゼラズニイ 訳:仁賀克雄/カバー:ジャニー・ワーツ/発行:1982年9月25日 第三次大戦で地球は全滅した。人々が奇妙な逆説を信仰したためだった。 エネルギー調査開発庁長官カールトン・ルフトオイフェルは数字の詐術を巧妙に使った演説で人々を説得したのだ。国家の機能は一定の生存者がなければ維持されないというのは嘘だ。 マイクロ化されたデータのカプセルが安全に貯蔵されていれば愛国的思考形態は残っていく。1983年の演説で彼はそう主張した。そして5000マイル上空の人工衛星から、偉大な無差別爆弾=怒りの神を爆発させた。今、手足のない画家ティボール・マクマスターズは第三次大戦の背後に隠れている神ルフトオイフェルを求めて全滅したあと恐ろしい突然変異体たちの跋扈する異邦の地を二輪車を牛に引かせて旅していた。あの悪魔でもあり神でもあるルフトオイフェルの肖像画を描くよう教会から依頼されたのだ。 それを妨害しようとする追跡者……すさまじくも暴力的なディック&ゼラズニイの驚嘆すべき記念碑。
■『ヴァリス』VALIS〈サンリオSF文庫3−E〉訳:大瀧啓祐/カバー:藤野一友/発行:1982年5月15日 大ソヴィエト事典1992年度第6版によれば、VALISとはVast Active Living Intelligence System(巨大にして能動的な生ける情報システム)。 自発的な自動追跡をする負のエントロピーの渦動が形成され、自らの環境を斬進的に包含し、かつ情報の配置に編入する、現実場における、摂動。擬似意識、意志、知性、成長、環動的首尾一貫性を特徴とする、という。 さてVALISとはさらに発狂した神の仕掛けた迷宮によるひっぱるほどに締めつけるフィンガートラップであり、混乱と腐敗を増していく宇宙創成論であり、つまり実り豊かな終末論であり、カバラ、ドラッグ、魔術師シモン、狂気、光と闇の弁証法、パラケルスス、ヘルメス学、そしてなによりも神に酔える哲人スピノザによる、神の唯一の啓示である神は存在しないというソフィア、つまり新グノーシス主義による無神学大全VALIS、さらに幽明の境を越えて不死の人となったディックその人の生誕を告げる遺書である。 ■『銀河の壷直し』GALACTIC POT-HEALER〈サンリオSF文庫3−H〉 訳:汀 一弘/カバー:若菜 等/発行:1983年5月25日 「壺類修理屋、きみが必要だ。報酬は35000クラムブル」西歴2046年、クリーヴランド市で、職にあぶれていたジョー・ファーンライトのもとヘ、こんな速達が舞い込んできた。 百科辞典によれぱ、クラムブルとはシリウス5の貨幣単位で、支配種は一個体しか存在しない超生物グリマングだという。やがて彼の前に火と水を攪拌しながらレコード盤で話す姿で現われたグリマングは依頼内容を告げる。数世紀前、その惑星の海中に没した古聖堂を引き揚げること。その中には修理されるべき多数の壺が……それにしても、その仕事にはあまりにも謎めいた部分が多すぎる。 本書中で描かれる過去・現在・未来の全てを記録して絶えず変わり続けるカレンドの書のように、本書は読み手によって千変万化し、完成を拒否することによって誹謗と絶讃に評価が激しく分裂しているディック体験の試金右とも言うべき間題作。 ■『逆まわりの世界』COUNTER-CLOCK WORLD〈ハヤカワSF526〉 訳:小尾芙佐/カバー:辰巳四郎/発行:1983年8月31日 1986年突如世界は一変した。ホバート位相と呼ばれる時間逆流現象のために、死者は墓から甦り、生者は若返っては子宮へと回帰するようになったのだ。 死者再生と適当な保護者への売却を請負う再生施設の経営者セバスチャン・ヘルメスは、折りしも一人の死者を墓から掘りだしていた。偉大な黒人解放家、ユーディ教の始祖トマス・ピーク――再生した彼の去就をめぐって、彼を抹殺しようとはかる公安機関〈消去局〉、狂信的なユーディ教指導者、そしてローマ教会の三つ巴の暗闘に、セバスチャンとその妻ロッタは否応なく巻きこまれてゆく……鬼才が描く狂気と不条理の超現実世界!
■『高い城の男』THE MAN IN THE HIGH CASTLE〈ハヤカワSF568〉訳:浅倉久志/カバー野中 昇/発行:1984年7月31日 アメリカ美術工芸品商会を経営するロバート・チルダンは、通商代表部の田上信輔に平身低頭しながら商品を説明していた。 すべては1947年、第二次世界大戦が枢軸国側の勝利に終わった時から変わったのだ。ここ、サンフランシスコはアメリカ太平洋岸連邦の一都市として日本の勢力下にある。戦後15年、世界はいまだに日本とドイツの二大国家に支配されていたのだった! ――第二次大戦の勝敗が逆転した世界を舞台に現実と虚構との間の微妙なバランスを、緻密な構成と迫真の筆致で見事に描きあげ、1963年度ヒューゴー最優秀長篇賞を受賞した、鬼才ディックの最高傑作、遂に登場! ■『ティモシー・アーチャーの転生』THE TRANSMIGRATION OF TIMOTHY ARCHER〈サンリオSF文庫3−L〉 訳:大瀧啓祐/カバー:藤野一友/発行:1984年10月30日 ジョン・レノンが殺された日――。エンジェル・アーチャーは、ベイ・エリアを歩きながら、ビートルズ狂だった夫のジェフ、義父のティモシー・アーチャー主教、そして主教の愛人兼秘書だったカースタン・ランドボーグの死について考えていた。 70年代初め、毎日のようにポール・マッカートニーの〈テディ・ボーイ〉を聴きながら、突然自殺してエンジェルのもとから去ったジェフ。主教と一緒にサドク派文書の解読にあたっていたカースタンもまた、ジェフの後を追うように自殺――分裂症の息子ビルを残して。そして、最後に、ひとり死海に旅立った主教の謎の死……。 ジョン・レノンが死んだ日、エンジェルは三人の死に語りはじめた。 『ヴァリス』『聖なる侵入』を遺して逝ったディックが死の直前まで推敲し、文字通りの遺作となった本書は、一つの完結ではなく、さらに新たなるディック的世界を開示する。 ■『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』THE THREE SIGMATA OF PALMER ELDRITCH〈ハヤカワSF590〉 訳:浅倉久志/カバー:渡部 隆/発行:1984年12月15日 銀河系の彼方から、謎に包まれた星間実業家パーマー・エルドリッチが新種のドラッグを携えて太陽系に帰還してきた。 迫りくる地球滅亡にそなえて、不毛の惑星へ強制移住させられた人々にとって、ドラッグは必需品である。彼らはこぞってエルドリッチのドラッグに飛びつくが、幻影に酔いしれる彼らを待っていたのは、死よりも恐るべき陥穽だった……蝕まれゆく現実と白昼夢が交錯する戦慄の魔界を描破した鬼才の最高傑作! ■『テレポートされざる者』THE UNTELEPORTED MAN〈サンリオSF文庫3−O〉 訳:鈴木 聡/カバー:K・G・ヤナセ/発行:1985年8月15日 24光年の彼方にあるフォーマルハウト系第九惑星「鯨の口」の新植民地には、すでに四千万人の地球人が入植していた。 画期的なテレポーテイション・システムのテルポー装置を使えば、わずか15分で移住できる。しかし、このテルポー装置の発明によって倒産した星間輸送会社の後継者ラクマエル・ベン・アップルボームは、残された唯一の輸送船オムファロスで「鯨の口」に出発しようとしていた。 片道18年かかる長途だったが、送りだすだけで唯一人も迎え入れていないテルポー装置の秘密を暴くための企てだった……。 本書は初め、現行のほぼ半分を削除して、エース・ダブルで1966年に出版され、ディック自身永くその完全版の刊行を希望し、生前にはついに実現しなかったものである。テキストには三箇所の空白部は残ったものの、ディック中期の傑作の一つに数えられる、待望の長編SF。
■『あなたを合成します』WE CAN BUILD YOU〈サンリオSF文庫3−P〉訳:阿部重夫/カバー:K・G・ヤナセ/発行:1985年10月15日 ルイス・ローゼンは電子オルガンのセールスマン。一時は隆盛をきわめた電子オルガンも、今じゃスピネットピアノなどに押されて、完全に左前。この窮状から抜け出そうと、仲間のモーリィ・ロックが考えたのが、擬人体(シミュラクラ)の製造だった。 アメリカ人がいまだに最大の関心をもっている南北戦争時代のシミュラクラを作って、ひともうけしようと企んだのだ。第一号は、リンカーン大統領当時の陸軍長官エドウィン・M・スタントン。そして、第二号は当のリンカーンだった。 彼らはこの企画を、惑星の土地開発を手がけている若き実業家サム・バロウズに売り込もうとするのだが……。 1972年に刊行された本書は、初めドタバタ喜劇風の擬人体テーマが語られるが、後半一転して沈痛なまでの佯狂の物語となる。ディックの中期と後期を繋ぐ重要な長編SF。 ■『虚空の眼』EYE IN THE SKY〈サンリオSF文庫3−R〉 訳:大瀧啓祐/カバー:ロバート・シュルツ/発行:1986年7月15日 1959年10月、カリフォルニアはベルモントにあるベヴァトロンの陽子ビーム偏向装置が初めて作動しようとしていた。 この画期的な装置を見ようと、その時、観察台にはガイドと見学者を合わせて8人の人間がいた。その一人、ミサイル調査研究所に勤める電子工学者の専門家ハミルトンは、妻マーシャと共に、苦にがしい気分で見学していた。直前に、マーシャの素行が因で、研究室を休職させられたのだ。 ところが、作動しだしたビーム偏向装置はたちまちトラブルを起こし、60億ヴォルトのビームは天井に向かって放射され、観察台を焼きつくし、8人の人間を60フィート下に叩き落した。奇蹟的に軽傷で終わった見学者たちが目覚めたとき、そこは「バーブ教」の支配する呪術的な世界だった……。 ディック初期の最大傑作。 ■『フィリップ・K・ディック――全く新しい未解決問題』Philip K. Dick : Whole New Can of Worms 著:ブライアン・W・オールディス ■『アルベマス』RADIO FREE ALBEMUTH〈サンリオSF文庫3−U〉 訳:大瀧啓祐/カバー:K・G・ヤナセ/発行:1987年8月20日 SF作家フィル・ディックの終生の友人ニコラス・ブレイディは、1928年にシカゴで生まれた。 人生の大半をベイ・エリア、ことにバークリイですごした。カリフォルニア大学に入ったが、軍事教練を拒否して、二ヵ月で退学。そのあと、レコード・ショップの勤め口を得て、死ぬまで好きな音楽と関わることになる。 アメリカでは、悪辣な暗殺によって指導的な政治家が次々と失われ、かわりに謀略や扇動でフェリス・F・フレマントが大統領にまで登りつめようとしていた。 そして、ニコラス・ブレイディの異常な体験が始まった。VALIS(巨大にして能動的な生ける情報システム)がニコラスに話しかけてくる。この繰り返しの体験によって、ニコラスは多くの啓示を得、またフレマントの正体を知ることになる……。 70年代ディックの乾坤一擲の苦難を顕わす、傑作『ヴァリス』ヴァリアント。 ■『去年を待ちながら』NOW WAIT FOR LAST YEAR〈創元SF文庫696-01〉 訳:寺地五一・高木直二/カバー:松林富久治/発行:1989年4月21日 2055年。地球は国連事務総長モリナーリをトッブに戴き、星間戦争のさなかにある。TF&D社はこの星間戦争を支える大資本のひとつだった。 そこの社長ヴァージルの主治医だった人工臓器移植医エリックは、ある日モリナーリの専属担当を要請される。モリナーリは、死してなお蘇り、熱弁をふるい人々を鼓舞する最高権カ者だった……。 一方、いつしか民間には、軍事用に開発された禁断のドラッグ、JJ180が出回っていた。そしてTF&D社のアンティーク収集担当、エリックの妻キャサリンは、夫とのいざこざから、JJ180を服用してしまう。 かくして、時間が、世界が交錯しはじめる……。 P・K・ディック中期の名篇。
■『タイタンのゲーム・プレイヤー』THE GAME-PLAYERS OF TITAN〈創元SF文庫696-04〉訳:大森 望/カバー:松林富久治/発行:1990年3月2日 星間戦争に敗北した人類は、ヴァグと呼ばれるタイタン生物に支配されていた。 さらに、人民中国が使用した兵器のため極度に出生率が低下したなかで、一部の特権階級の人間たちは、ヴァグが持ちこんだ〈ゲーム〉に――自分たちの土地を賭けたブレイに――興じている。 カリフォルニアの地縛者ピートは、住み慣れたパークレーを、大物プレーヤーのラックマンにまきあげられてしまい、彼と再度の勝負におよぶ。だがその翌朝、ラックマンは死体となって発見された。 そしてピートはもとより、彼のグループの全員が、事件当夜の記憶を失っていた……。それが、すべての悪夢の始まりだった。 ■『ジョーンズの世界』THE WORLD JONES MADE〈創元SF文庫696-06〉 訳:大森 望/カバー:松林富久治/発行:1990年11月9日 保安警察の秘密捜査官カシックは、ある日、カーニヴァルで奇妙な占い師に出会った。看板には「個人の占いはお断り」とある――人類の未来のみを占うというのだ。 この男がジョーンズだった。一年先までの未来を完璧に予知できる能力をもつ彼を、世界政府は即刻監視下におく。だが彼のもとに人々は参集し、やがて連邦世界攻府をおびやかす組織にまで発展する……。 そしてこのとき、太陽系には〈漂流者〉と呼ばれる謎の物体が飛来していた。P・K・ディック50年代の名編。
■『ニックとグリマング』NICK AND THE GLIMMUNG〈筑摩書房〉訳:菊池 誠/イラスト:ポール・ディマイヤー/発行:1991年8月25日 グリマング、ウーブ、オトウサンモドキ、フクセイetc。ディックおなじみの奇妙な「動物たち」が活躍するキッチュな預言の物語。待望の本邦初訳! ■『銀星倶楽部 12号』掲載(抄訳:野田葉子) ■『ユービック:スクリーンプレイ』UBIK : THE SCREENPLAY〈ハヤカワSF1441〉 訳:浅倉久志/カバー:山本ゆり子/発行:2003年4月15日 あらゆるものが退行し朽ち果てていく。この世界はいったい!? ディックが終生追い求めた“現実とは?”というテーマを突き詰めた60年代の傑作『ユービック』。 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』と並んで代表作に数えられるこの作品を、作者自身が再解釈を加えてシナリオ化。細部から結末にいたるまで加筆・修正が行われ、生まれ変わった“もうひとつの『ユービック』”、ついに刊行! 短篇集 ■『パーキー・パットの日々』THE BEST OF PHILIP K . DICK〈ハヤカワSF910〉ディック傑作集@ 訳:浅倉久志・他/カバー:野中 昇/発行:1991年1月31日 火星人との戦争で人類はかつての豊かな生活を奪われた。地下シェルターに暮らすカリフォルニア地区の住民に残された楽しみといえば、パーキー・パットという女の子の人形と古き良き時代の町の模型を使うシミュレーション・ゲームだけ。そんなある日、オークランド地区ではパットよりずっと成熟した女性人形を使っているという噂が……表題作ほか、処女短篇「ウーブ身重く横たわる」など鬼才ディックの傑作短篇10篇を収録。 収録作品 ■『時間飛行士へのささやかな贈物』THEBESTOFPHILIPK.DICK〈ハヤカワSF911〉ディック傑作集A 訳:浅倉久志・他/カバー:野中昇/発行:1991年1月31日 アメリカで行われた国家的なタイム・トラベル実験で、タイム・トリップ中に爆発事故が起きた。ひとつの空間に同時に複数の物体は存在できないという原則を破ってしまったらしい。時間飛行士たちの運命は……表題作。ある日チャールズは、ガレージにいる父親が二人になっているのに気がついた……「父さんに似たもの」など、読む者を現実と非現実のはざまへと引きずりこむ、名手ディックならではの悪夢に満ちた9篇! 収録作品 ■『ゴールデン・マン』THEGOLDENMAN〈ハヤカワSF968〉ディック傑作集B 訳:浅倉久志・他/カバー:野中昇/発行:1992年4月30日 神が君臨してきたかのような姿だった――真昼の太陽を浴びた黄金像そのままの青年。だが彼は、現人類をはるかにしのぐ能力をもつミュータントだった!スリリングな追跡ドラマの表題作をはじめ、雨の夜に妖精の訪問をうけた男の物語「妖精の王」、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の原型となった「小さな黒い箱」など歿後十年を経て、全世界でますます評価の高まる幻視者ディックの世界を満喫できる傑作集第三巻! 収録作品 ■『まだ人間じゃない』THEGOLDENMAN〈ハヤカワSF969〉ディック傑作集C 訳:浅倉久志・他/カバー:野中昇/発行:1992年4月30日 12歳以下の子どもたちが“生後堕胎”の名のもとに殺戮される戦慄の未来を描いた問題作「まだ人間じゃない」、異星人による奇妙な侵略をうけた地球の物語「フヌールとの戦い」、広告戦争が極限まで達した騒々しい未来社会を描いた「CM地獄」などの秀作中短編8篇をおさめたほか、詳細な自作解説や、孤高の天才ディックが心情を赤裸々につづり、作品世界への鍵となる貴重なエッセイも併録した決定版ディック傑作集第四巻。 収録作品 ■『ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック』THEBESTOFPHILIPK.DICK〈サンリオSF文庫3−I〉 編:ジョン・ブラナー 訳:浅倉久志・他/カバー:V・D・フェイト/発行:1983年11月30日 初めに、ブラナーに語ってもらおう。「もし、もっと大ぜいの人がディックの作品を読めぱ、わたしがああいう世界に住まなくてすむ可能性が、それだけ強くなるのではなかろうか……」というわけで、合わせて700ページに及ぶ長大な『ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック』をおおくりする。本書は生前刊行された短編集の中で決定版的なものと高く評値されている。また、巻末にはディック自身の各作品に対するコメントを収録。第I巻には、1952年にプラネット・ストリーズ誌に掲載された処女短編「彼処にウーブ横たわりて」、初期の傑作中編「変種第二号」ほか本邦初訳の「報酬」「パーキイ・パットの日」など10編を収録。いずれも、アイデアの冴えと独特の強烈なサスペンスによって、短編の名手としてのディックの名前を高からしめた傑作ぱかり集められた。 収録作品 ■『地図にない町』THECOMMUTERAndOtherStories〈ハヤカワNV122〉 訳:仁賀克雄/カバー:真鍋博/発行:1976年8月15日 あるはずのない駅に、電車が止まる。駅の前にひろがるのは地図にない町。そこで目にするものは?幻想味あふれる名篇「地図にない町」をはじめ、ぜんまい仕掛けのおもちゃが子供たちを支配しようとする「おもちゃの戦争」や、子供にお菓子をご馳走しつづける不思議な老女の話「クッキーばあさん」など、名手ディックの数多くの傑作短篇郡の中から、独自に編纂した珠玉の十二篇を収録。多彩にして異様な魅力をはなつ短篇集。 収録作品 ■『顔のない博物館』〈北宋社〉 訳:仁賀克雄/カバー:谷川晃一/発行:1983年12月10日 ■『悪夢機械』10SHORTSTORIES〈新潮文庫テ−10−1〉 訳編:浅倉久志/カバー:H・R・ギーガー/発行:1987年12月20日 核戦争後の地球、人間とミュータントの世代交代をテーマにした「訪問者」、パラノイアの狂気を描く「スパイはだれだ」、中国との戦争に敗れ、奇妙な宗教が支配するようになったアメリカを描く「輪廻の車」など、初期作品から晩年の作品まで、日本未紹介の短編を10編収録。アメリカSF界の鬼才、P・K・デッィクが作り出した悪夢的イメージを集約した、傑作オリジナル短編集。 収録作品 P・K・ディック未訳短篇 ■『模造記憶』WECANREMEMBERITFORYOUWHOLESALEand11otherstories〈新潮文庫テ−10−2〉 訳:浅倉久志・他/カバー:H・R・ギーガー/発行:1989年7月25日 しがない安月給のサラリーマン、ダグラス・クウェールは火星への憧憬を拭いさることができず、架空の記憶を売る会社を訪れた。クウェールの記憶を分析した担当の技術者は困惑の表情を浮かべた。すでに、クウェールの記憶中枢には火星での生活が刻みこまれていたのだ。さらに、その深層に隠された記憶を探ると……偽の記憶を扱った「追憶売ります」など12編収録のオリジナル短編集。 収録作品 ■『ウォー・ゲーム』〈ちくま文庫て4-3〉 訳:仁賀克雄/カバー:RAOUL/発行:1992年9月24日 子供たちの玩具に隠された秘密を見つけだせ!地球輸入基準局からやっきになって他の星から送られてくる輸入玩具をチェックする。“ウォー・ゲーム”と名づけられたゲームに隠された謎とは――? 彼らは地球を守ることができるのか? ――表題作他、本邦初訳を含む初期短篇九篇収録。 収録作品 ■『ウォー・ベテラン』WARVETERAN and other stories〈教養文庫1450D〉 編訳:仁賀克雄/カバー:春井裕/発行:1992年12月30日 収録作品 ■『永久戦争』THEDEFENDERSandother5stories〈新潮文庫テ−10−3〉 訳:浅倉久志/カバー:H・R・ギーガー/発行:1993年8月25日 核戦争で灰燼に帰した地球、擬似生命体へと進化していくロボット、社会システムのために踏みにじられしまう人間の尊厳、相互に浸透し交錯しあう複数の現実、絶望的状況の中で苦闘を続けるごく普通の職業の主人公たち――デビュー以来、近未来を舞台に悲惨な人間の状況を書き続けてきたP・K・ディックの終末的ヴィジョンの数々。「戦争」をテーマにした日本オリジナル短編集第三弾。 収録作品
■『マイノリティ・レポート』〈ハヤカワSF1313〉訳:浅倉久志・他/カバー:野中昇/発行:1999年6月30日 予知能力者を使う犯罪予防局が設立され、犯罪者はその犯行前に逮捕されるようになった。ところがある日、犯罪予防局長官アンダートンは恩いもよらぬものを見た。こともあろうに自分が、見たことも聞いたこともない相手を、来週殺すと予知分析カードに出ていたのだ。なにかの陰謀にちがいないと考えたアンダートンは、警察に追われながら調査を開始するが……スピルバーグ監督による映画化原作の表題作ほか全7篇を収録。
■『シビュラの目』〈ハヤカワSF1313〉 訳:浅倉久志・他/カバー:野中昇/発行:2000年6月15日 古代ローマ人の生まれ変わりのSF作家がたどる奇妙な人生と、未来を見られる摩詞不思議な目をめぐる物語を捕く表題作「シビュラの目」をはじめ、ホワイトハウスに設置されたコンピュータが大統領をつとめる未来の合衆国で、思いがけず大統領の待機員に任命された男を軽妙に描く「待機員」、本邦初訳の「聖なる争い」と「カンタータ百四十番」、大実業家の死後に起こる異様な出来事を捕く「宇宙の死者」など全六篇を収録 収録作品 短篇 |