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タイムマシンは作れるか!!


映画タイムライン公開記念特集

◆1895年、H.G。ウェルズは SF映画の古典「タイムマシン」を発表しました。

彼は、時間というのは第四の次元で、我々が車や飛行機で 各地を移動するように時間という物も移動することが可能と考えたのです。
しかし、この説には前提があって、現代も過去も未来もどこかに存在しているということ、現代だけが 実際にあるのではなくて、過去、現代、未来が並んで存在していることが前提でした。

実際、1960年に映画化された、ジョージパルの「タイムマシン」もH.G.ウェルズの孫サイモン・ウェルズ が2002年に作った「タイムマシン」も、その時間移動する際は、まわりの景色がまるでビデオの早送りのように 流れていきます。

人間は時間という一本の線上を、過去から未来へと移動しているという前提に基づく映像化です。


◆それから十年後の1905年、26歳のアインシュタインはタイムトラベルの可能性を証明しました。

これは特殊相対性理論に基づくもので、時間という物は、伸ばしたり縮めたりすることが出来るもので、 この伸縮のためには非常に速く動くことが必要であると考えました。

この説は1971年、ジョー・ハーフェルとリチャード・キーティングにより証明されています。

非常に精密な原子時計を飛行機に積んでとばしてみます。そして、地上においた時計と比べてみると、 飛行機内においた時計の方は、59ナノ秒(ナノは10億分の一秒)遅く進んだのです
この原理により、無限に速いスピード、光の速さに近づくほど大きなタイムワープ(時間のずれ)が生じることになります。


◆上記のような、ウェルズやアインシュタインの特殊相対性理論に基づくタイムトラベルの可能性から ほとんどのSF映画やSF小説が作られています。

「猿の惑星」では、光速飛行する宇宙船に乗ったテイラー達は遙か未来の地球にたどり着いてしまう。
「バックトゥーザフューチャー」では、猛スピードで走るデロリアンに何らかのエネルギーを加え 過去や未来へ旅する物語です。
筒井康隆の「時をかける少女」は、未来でタイムトラベルの薬を発明したケン・ソゴルが現代へタイムトラベルしてくる。
「ターミネーター」では、未来での反乱軍の指導者を過去にさかのぼって抹殺しようとする。
ドラえもんも、のび太の未来の子孫が、先祖ののび太のなまけぐせを治すためにドラえもんを送り込んでくる
「ある日どこかで」では、主人公は念じることで過去へタイムトラベルしたり、ふとしたミス現代へ 戻ったりする。

いずれも、時間という一本の線の上を、人間が過去、現代、未来と移動していることが大前提である。

では、今回の「タイムライン」はどうか。マイケル・クライトンはもう一つの理論に基づく タイムトラベルの可能性を物語にしています。

では、まずは原作から、タイムマシンを開発したゴードン博士の説明を引用してみましょう。


◆マイケル・クライトン原作「タイムライン」より

「時間旅行という物は不可能である。
時間は流れているものではない。流れていると思うのは錯覚で・・・・
我々が開発したのは一種の空間旅行だ。正確には、量子テクノロジーをを利用して直行する多宇宙の別の宇宙 別の場所へ移動すること・・。」「多宇宙とは量子力学の概念で、宇宙は絶えず分岐しているから、ヒトラーが勝った 宇宙も存在し・・、これを量子力学の多世界という。宇宙には平行宇宙が存在し、同じ時間の長さではないので、、 過去の宇宙も存在する。教授が過去へいった宇宙もあれば、別宇宙から我々の宇宙の過去へ来た教授もいる。 メッセージが伝わった宇宙もあれば、伝わっていない宇宙もある。・・」


◆これはワームホールをタイムトラベルに使うというものである。

1908年アインシュタインは、1905年の説を受けて重力も時間の歩みを遅くするという 一般相対性理論を打ち出します。

つまり、時計をロケットに乗せて、地球の重力の影響を受けない場所へとばすと、ロケットに乗せた時計は 地上の時計より速く進む。つまり、地上に近い方が重力の影響を受けて遅くなるというものです。

さらに重力は時間だけでなく、空間にも影響を与える。
つまり巨大な重力場を作れば、大きな空間のワームホールが出来、 つまり空間に穴があき、一方の入り口から別の宇宙の出口へ出ることで時間移動が出来るとするものである。

この説により描かれたのは、1980年にカール・セーガンが著した「コンタクト」です。
これはジュディ・フォスター主演で映画にもなったので、ごらんになった方もいらっしゃるでしょう。 二つのワームホールのトンネルを、カプセルに乗ったジョディーフォスターがくぐり抜けて、時間をさかのぼり別の宇宙へと 飛び出すのです。


◆ではワームホールを使ってタイムマシンを作るためにはどうするか?

1.衝突器で10兆度の高温を作る
宇宙誕生の時のビッグバンの高温10兆度をつくり空間に量子真空という穴を作る

2.圧縮機で高温の塊を圧縮する
1.で作ったエネルギーだけでは時空をゆがめることは出来ないのでそのエネルギーを100億のさらに100億 倍以上に圧縮することでワームホールが形成される。

3.この穴は小さすぎて人が通れないのでこの穴を拡大するため膨張器で負のエネルギーを注入

4.差分器で時間差を作る
ワームホールをタイムマシンに変えるためにワームホールの両端に時間の差を作る

です。正直意味がわかりにくいでしょう。つまり現代の科学では不可能に近いのです。
理論上可能でも実際には作れない。そこにまたSFに取り上げられやすいテーマの理由かもしれません。

◆では、絶対にタイムマシンは作れないのか

タイムトラベルは遠い未来においても不可能である。

なぜなら、もし将来タイムトラベルが可能になるなら、そうした未来からタイムトラベルしてきた人が 現代にいるはずである。
しかし、身の回りにそうした人がいないことから、遠い未来でもタイムトラベルは不可能。 という人がいる。

しかし、タイムトラベルが可能という人は、様々な仮定を作ってタイムトラベルの可能性を残している。
つまり、過去にいった人は過去に絶対干渉してはいけない、というタイムルール。干渉したら未来が変わってしまうからだとする。
また、タイムトラベルが可能な時代には、タイムパトロールができて常に監視しているので見つからない。 等々。

この仮定はかなり無理もある。

◆過去は変わるのだろうか?

それは否である。
過去を変えるために現代から人が行くということ自体、現代が正しく存在する証であり、 現代があるから過去を変えるための人を送り込むことが出来るのである。

また、未来からの訪問者がいないのは、ワームホールタイムマシンではワームホールを造ったより過去へは 戻れない。

こうして、一つの理論を使って物語を進めると別の矛盾が出てくる。こうしたパラドックスを証明したり、 否定したり、あるいは新たな解釈や場合によっては、かなり無理のあるこじつけをつくってタイムトラベルは これからも映画や小説に登場するでしょう。
最後に、前記した「タイムライン」のゴードン博士の説明にも、よく考えるとかなり無理な仮定や理論があります。
しかしサイエンスフィクションの物語として本当にしっかり書かれているし、これだけ斬新なストーリーを作り上げた 才能こそが新しい理論の証明で、さらに映画になって夢の世界へ誘ってくれるものです。


それでは、映画「タイムライン」世界へどうぞ◆タイムライン◆