| 隠し砦の三悪人 |
世は戦国時代、隣国の山名家に敗れた秋月家の大将・真壁は、世継ぎの雪姫と共に隠し砦にこもっていた。彼は、お家再興のため、姫を連れて同盟国の早川領へと脱出することを考えていた。砦の近くには、軍資金となる黄金200貫も隠してあった。それを手にして、なんとか早川領へと考えていた真壁は、砦近くの沢で二人の農民に出会う。これを好機とばかりに、真壁は彼らを利用して、敵陣突破を図るのだった…。黒澤監督お得意の大胆な構図と心躍るアクション、全編にみなぎるダイナミズムと強い緊張感が観る者全てを虜にする、傑作アクション時代劇。黒澤監督も参加して練りに練り上げた脚本を、スピーディーな展開で見事に映像化している。本作でデビューし、わずか9作で引退した雪姫役・上原美佐の凛とした美しさも忘れがたい。世界の映画人が、黒澤作品から大きな影響を受けているが、ジョージ・ルーカス監督が本作から「スター・ウォーズ」のヒントを得たという話はあまりにも有名。
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| 悪い奴ほどよく眠る |
西幸一は、汚職事件の隠蔽工作に巻き込まれ、父を自殺に追いやられた過去を持っていた。彼は、父を死に追い込んだ連中に復讐するため、政界に潜り込み、張本人である男の娘と結婚する。やがて、父の仇である政治家たちに、様々な方法で復讐を行なうが…。当時の日本が抱えていた問題であり、現代社会にも未だはびこる政治汚職をテーマに、巨悪に立ち向かう男の悲劇を描いた作品。社会的なメッセージ性と、サスペンスによるエンターテインメント性を見事に両立させている。また、シーンと不釣り合いな音楽を使用し心理的な効果を狙うなど、黒澤監督の演出手腕がさえ渡っている |
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| 用心棒 |
小さな宿場町に、流れ者の凄腕の浪人がふらりとやって来た。そこではやくざの二大勢力が、お互いの縄張りを巡って争いを繰り返しており、そのために町はすっかり荒廃しきっていた。度胸もあり、頭もキレるその浪人は、用心棒として雇われながら、双方のやくざをうまく操り、共倒れにさせようと画策する…。世界中の映画人に賞賛され、海外のアクション映画にも大きな影響を与えた痛快娯楽時代劇。息をもつかせぬストーリー展開と、望遠レンズを多用した、スピード感と迫力に溢れる映像が素晴らしい。また、黒澤監督をも驚かせた、三船敏郎の"10秒で10人を斬る"驚異の立ち回りも必見だ。ご存知マカロニ・ウェスタンの傑作「荒野の用心棒」は、本作の西部劇版リメイクである。
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| 椿三十郎 |
若い侍たちが、代官の贈収賄事件に関する話し合いのため、とある寺に集まっていた。領主は江戸に上がっている最中。彼らはその件を家老の一人に相談するため、そこで待ち合わせをしていたのだった。だが、たまたま寺の奥に寝ていた素浪人・椿三十郎は、疑問を抱いて口を挟む。「家老も怪しい」という三十郎の言葉に若者たちは耳を貸さないが、案の定、寺は大勢の敵に囲まれていた。彼らを助けた三十郎は、行きがかり上、若者たちに加勢することになり…。お家騒動に揺れるとある藩を舞台に、凄腕浪人・三十郎が再び大暴れする娯楽活劇の傑作。ラストの三船敏郎vs仲代達矢の鬼気迫る決闘シーンは映画史に残る名場面として知られている。三船に斬られた仲代の体から血しぶきが噴水のように噴き出す演出は、この作品で初めて使われ、以降の時代劇や海外のアクション映画に多大な影響を与えた。また、三船が一気に20人近くを斬り倒す場面も出色の出来映えだ。終始シリアスに描かれた「用心棒」とは対照的に、この作品はユーモアたっぷりに描かれており、入江たか子扮する城代の奥方や、小林桂樹が演じる敵方の侍など、とぼけた役柄のキャラクターも、もう一つの見どころとなっている。
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| 天国と地獄 |
豪邸に住む製靴会社の社長・権藤の子供と間違えられ、彼のお抱え運転手の子供が誘拐された。犯人は三千万円という法外な身代金を要求してきた。権藤が他の重役たちと経営方針で対立し、全財産を抵当に入れて自社株を買い占めようとしていた矢先のことだった。身代金を払ってしまえば株を買い占めることは出来ず、権藤の会社での立場は危ういものになる。彼は悩んだ末、全財産を投げ打って身代金を払い、無事に子供を救い出す事に成功する。やがて、捜査線上には一人の青年が浮かび上がってくるが…。エド・マクベインの小説を原作に、誘拐犯と警察の攻防を描くサスペンス映画。身代金奪取の意外なトリックを描いたシーンは大きな見どころ。全編にみなぎる緊張感と、新幹線を走らせながら8台のカメラで同時に撮影したというダイナミックな映像が、この作品を単なる娯楽作品ではない極上の犯罪映画に仕上げている。
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| 赤ひげ |
幕末の江戸、小石川には養生所があった。そこは貧しい町人のための医療施設で、"赤ひげ"と呼ばれる医者が働いていた。ある時、長崎の蘭学塾で医学を学んだエリート青年が養生所を訪れ、赤ひげの下で見習いとして働くことになった。最初は反発していた青年だったが、様々な人と出会い、赤ひげの人柄に触れるうち、人間として、医者として成長していく…。山本周五郎の同名小説を映画化した黒澤明の意欲作。観客がどうしても見ずにいられない作品を!と、当時としては破格の2年という長い歳月をかけて製作された。ヴェネチア国際映画祭のサン・ジョルジュ賞など、作品が海外で賞をとっただけでなく、この演技で三船敏郎も、ヴェネチアで最優秀男優賞を受賞している。
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| どですかでん |
六ちゃんはスラム街に住む男の子。毎日、自分が電車の運転手になったつもりで「どですかでん、どですかでん」と電車の音を口真似しながら、街から街へと走っていく。街は貧しく、人々の生活は苦しいが、六ちゃんの毎日は底抜けに明るい…。黒澤監督の第24作目にして、初のカラー作品。原作は山本周五郎の小説「季節のない街」。暗い世相を主人公・六ちゃんの目を通すことで、明るく軽やかに見せている。黒澤監督自らセットの背景に雲の絵を描いたり、色を塗ったガラスをカメラの前に置いたりと、メルヘンの世界を構築するための様々な試みがなされている。 |
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| デルス・ウザーラ |
20世紀初頭、帝政ロシア時代にアルセーニエフという探検家がいた。彼はシベリアと中国・東北地方の国境地帯の地図を作成しようとしており、調査のためにウスリー地方に赴いていた。そこには、天涯孤独で家もない、猟師のデルス・ウザーラという男がいた。吹雪からデルスに救われたアルセーニエフは、次第にデルスの生き方と人間性に魅せられ、二人は友情を深めていくのだった…。広大なシベリアの大地を舞台に、男同士の友情を描く感動作。黒澤初の海外映画演出であり、合作映画となった。4年に渡る長い製作期間の後に完成したこの作品は、モスクワ映画祭でグランプリを獲得している。
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| 影武者 |
国家統一の気運が高まる戦国時代。甲斐の名将・武田信玄には、数名の影武者がいた。以前は弟の信廉もその一人だったが、今は重要な側近として信玄を補佐していた。ある時、京を制圧すべく三河攻めを敢行した信玄は、敵の狙撃手に鉄砲で打たれ、重傷を負ってしまう。やがて信玄は遺言を残してこの世を去る。重臣たちは信玄の遺言を守り、信玄の死を秘すため、信玄に瓜二つの盗人を影武者に仕立て上げる。影武者は信玄の幻に翻弄されながらも、その役割を全うしていく…。
"長篠の戦い"など大スペクタクル合戦シーンが多数織り込まれた、1980年度のカンヌ国際映画祭グランプリに輝く超大作。裏方であるはずの"影武者"の視点で捉えた歴史、という斬新な設定の下、この上なくダイナミックなスケールで戦国絵巻が描かれている。クランクインして間もなく、当初主演に決まっていた勝新太郎が降板し、仲代達矢が主役を引き継いだ事も話題になった。
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| 乱 |
一文字家の主・秀虎には三人の息子がいた。自分がもう年老いたと感じた秀虎は、主の座を息子たちに譲ろうと決め、三人の息子たちに家督を譲り、城を一つずつ与えることにする。しかし、それがきっかけで親子兄弟の骨肉の争いが始まった。権勢を誇った秀虎は発狂し、一文字家は破滅への道を辿る。やがて、正気に戻った秀虎が見たものは…。シェイクスピアの四大悲劇の一つ、「リア王」を下敷きに、毛利元就と三人の息子にまつわるエピソードを取り入れて新たに作り上げた、黒澤映画芸術の集大成とも言える戦国絵巻。リア王の3人の娘と、毛利の「三本の矢」のエピソードで有名な三兄弟を結びつけたアイディアは秀逸。能の様式美を取り入れた演出や、豪華絢爛な衣裳と美術で、海外でも高い評価を得ることとなった。'86年アカデミー賞衣裳デザイン賞、全米批評家協会作品賞・撮影賞などを受賞。
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| 夢 |
スティーブン・スピルバーグ&ジョージ・ルーカスを製作協力に迎え、"世界のクロサワ"が放つオムニバス作品。黒澤監督自身が見た夢を映像化したという8つの物語は、幻想的なものから残酷で現実的なものまで様々な内容に彩られており、その各々が深遠なテーマを抱えているかのようだ。さらに全篇を通して貫かれる絵画的映像美は巨匠・クロサワならではの見事さ。彼が追い求めたヒューマニズムの集大成とでも言うべき芸術作品となっている。CGを担当したのは「スターウォーズ」シリーズのILM。また、第5話「鴉」では「グッドフェローズ」のマーティン・スコセッシ監督が出演して話題を呼んだ。
■収録話第1話「日照り雨」第2話「桃畑」第3話「雪あらし」第4話「トンネル」第5話「鴉」第6話「赤富士」第7話「鬼哭」第8話「水車のある村」
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| 八月の狂詩曲 |
長崎から少し離れたところに住む祖母・鉦の家にやって来た、都会育ちの4人の孫たち。4人は祖母から戦争の体験などを聞きながら、田舎町での夏休みを過ごしていた。そこへハワイから一通の手紙が届く。それは祖母の兄・錫次郎の息子を名乗る、クラークというアメリカ人からだった。手紙の内容は、ハワイにいる錫次郎が不治の病にかかってしまったので、死ぬ前にひと目会ってほしいというものだった。やがてクラークが来日し、鉦に会いにやって来るのだが…。巨匠・黒澤明が村田喜代子の「鍋の中」を映画化。4人の子供たちのひと夏の経験を通して反戦を訴えかける内容でありながら、作品全体には田舎の夏ののどかな空気が満ちている。クラーク役を演じるのは「オータム・イン・ニューヨーク」のリチャード・ギア。祖母が豪雨の中をずぶぬれになりながら街へと向かうラストシーンは、世界中の映画人たちの絶賛を浴びた。
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| まあだだよ |
時は昭和18年の春。文筆活動のために教壇を去った教師のもとに、教え子たちは「まあだかい」という同窓会を結成して足繁く通っていた。ある日、教師の還暦を祝う宴会の最中に、空襲警報が鳴り響く。やがて空襲で家を焼かれた教師とその妻は、知人から借してもらった三畳一間の掘建て小屋で暮らすようになるのだが……。黒澤明が敬愛する随筆家・内田百けん(門構えに月)の諸作を基に、20年以上に渡る師弟の交流を温かく描いた作品。83歳で監督したこの30作品目が、巨匠・黒澤明の遺作となった。主役の内田先生を演じるのは、「四十七人の刺客」「雨あがる」など多くの作品に出演してきた松村達男。ほかにも香川京子や所ジョージ、井川比佐志など個性的な顔ぶれが揃っている。
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